R水素の基礎知識

Rじゃない水素社会が進展中

※このページは、2012年公開当時の情報を元に制作されています。最近の基本的な知識は、ブックレット『R水素』(2015年12月発行)をご購読ください。

現在、世界各国で、政府が国の税金を使って水素エネルギー・インフラを構築し、実証実験を行うプロジェクトが進行中です。水素発電自動車(燃料電池自動車)に水を補給する水素ステーションは、世界に212カ所+127カ所が計画中(2011年5月時点)。ただ、そのほとんどは化石エネルギー由来のRじゃない水素(再生可能でない水素)を利用したものです。

日本でも、Rじゃない水素ステーションの設置が進められています。

2002年度〜2010年度に行われたJHFC(水素・燃料電池実証プロジェクト)の一環として14カ所に設置され、このうち8カ所(※1)が、HySUT(水素供給・利用技術研究組合)に引き継がれました。 これに、HySUTが経済産業省の委託を受けて2009〜2010年度に実施した水素ハイウェイプロジェクトのもとで新設された3カ所(※2)を加え、現在は計11カ所がHySUTの管理下で稼働しています。

※1 霞が関水素ステーション/横浜・大黒水素ステーション /横浜・旭水素ステーション/千住水素ステーション/有明水素ステーション/セントレア水素ステーション/関西空港水素ステーション/大阪水素ステーション
※2 東京・杉並水素ステーション/羽田水素ステーション/成田水素ステーション

これ以外に、九州大学 水素エネルギー国際研究センターに1カ所、福岡県などがNEDOの委託を受けて行っている「地域水素供給インフラ技術・社会実証事業」の下で運用されている北九州水素ステーションが1カ所、稼働しています。

また、日光水素エネルギー社会促進協議会では移動式水素ステーションを運用しており、日本には現在、合計14カ所の水素ステーションがあります。(2012年1月R水素ネットワーク調べ)

以上すべて、Rじゃない水素ステーションです。

また、ステーションを運用するHySUTを構成するのは、「JX日鉱日石エネルギー」「出光興産」「コスモ石油」「昭和シェル石油」「東京ガス」「大阪ガス」「東邦ガス」「西部ガス」「岩谷産業」「大陽日酸」「日本エア・リキード」「三菱化工機」「川崎重工」という化石燃料企業群です。

なぜ、これらの事業に税金が投入されるかというと、政府が「Rじゃない水素」に主眼をおいているからです。化石燃料を使い続けることを前提に水素社会を構築する考えは、日本のエネルギー政策の基本方針が書かれた一連の公式文書(以下の表)に示されています。

3年ごとに見直されるエネルギー政策のグランドデザイン「エネルギー基本計画」の最新版(2010年6月)には、以下のように書かれています。2030年までに14基の原発新設を明記してあるエネルギー基本計画です。

※2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の4原子炉同時多発放射能漏れ事故を受け、菅直人前首相が「白紙からの見直し」を指示。改定のための調査等作業が進行中。

【目指すべき姿】
利用段階ではCO2を排出しない水素エネルギーを活用した社会システムを中長期的に構築
当面は、化石エネルギー由来の水素を活用し、化石燃料の有効利用を図るとともに製鉄所等からの副生水素を活用。将来的には化石エネルギー由来水素にCCS(CO2地下貯留技術)を組み合わせたCO2を排出しない水素製造技術の確立や、非化石エネルギー由来水素の開発・利用を推進。
世界に先駆けて実用化された家庭用燃料電池の市場拡大を図るとともに、今後は分散型電源としての利用や業務用などの大規模需要への展開を促し、エネルギー利用効率の向上を図る。また、2015年からの燃料電池自動車の普及開始に向け、水素ステーション等の供給インフラの整備支援を推進。
燃料電池の国内での普及とともに、国際標準化を含めた積極的な海外展開を図る。
【具体的取り組み】
燃料電池(定置用・自動車用)の最大の課題であるコストの低減に向け、導入支援を行うとともに、燃料電池の機構解明、白金の使用量低減や水素製造・輸送・貯蔵のための基礎的な部分も含めた技術開発を推進。
定置用燃料電池の海外展開を促進するため、各国の燃料の成分構成に対応したシステム開発を推進するとともに、燃料電池自動車については、燃料電池の信頼性・耐久性やタンクの貯蔵能力向上等に向けた研究開発を推進。
燃料電池自動車用水素ステーション等の供給インフラの整備コスト(現状、商用ベースで1基あたり約10億円(700気圧)〜約5億円(350気圧)程度。)を大幅に下げることが必要。このため、高圧ガス保安法に定める圧力容器の設計基準、使用可能鋼材の制約等の規制への対応が課題。国際動向もふまえ、解決に向けてデータに基づく安全性の検証、技術開発を推進。
燃料電池自動車(バス等大型車を含む)についての技術・社会実証や、大規模生産された水素の輸送・貯蔵・充填などに関する実証等を行う。2015年の燃料電池自動車の導入開始に向け、日米欧、関連地域、民間企業とも協力・連携し、供給インフラを含めた実証的取組を強化。

さらには、2011年2月に行われたイワタニ水素エネルギーフォーラムに出席した 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課 燃料電池推進室長の飯田健太氏は、「2030年に向けて、自主エネルギー比率を38%から70%に向上させるため、原子力発電所を増設し、化石燃料の自主開発を進める。水素は化石燃料の有効活用する方法として有効。将来的にはCCSを組み合わせたゼロエミッション水素や、非化石エネルギーである原発などと水素の組み合わせも視野に」とコメントしています。

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