R水素の基礎知識

R水素の貯め方・届け方

※このページは、2012年公開当時の情報を元に制作されています。最近の基本的な知識は、ブックレット『R水素』(2015年12月発行)をご購読ください。

「水素は貯蔵・運搬に課題が残る」と、よく耳にしますが、ほとんどの場合、中央集権的で一極集中型であるため長距離運搬が必要な、既存のエネルギー供給網が前提とされています。
R水素(再生可能水素)の基本は、地域循環型です。R水素と、化石燃料から取り出すRじゃない水素の貯蔵・運搬の話は全く別のもの。これらを混ぜて考えるのは、自分の家や近所の畑から野菜を穫ってくることと、エクアドル産のバナナの流通を一緒くたにしているようなものです。

以下は、地域循環型のR水素の有力な貯め方・届け方です。

【貯め方】

水素は軽くて小さい物質なので、そのままだと貯めるのにスペースを取りすぎてしまいます。そこで、コンパクトに収納するための方法が2つあります。

1 高圧にして貯める


車載用 350気圧の高圧タンク(車の場合は、狭い空間に、東京~大阪くらいの走行距離ほどの水素を、貯めるために高圧になります。)


九州大学水素エネルギー国際研究センター
メリット:軽い
課題:高圧ガス保安法の規制対象となり、タンク・取り扱う人員・設備にコストがかかる。圧縮時にエネルギーロスが発生する。

2 金属に吸わせて貯める

水素吸蔵合金を内蔵した水素ボンベ

メリット:常圧のまま貯められる。容器の体積の1000~2000倍の水素ガスを吸い込み水素化合物になり固体化しますので、より安全性が高いと言われています。

課題:重い

【届け方】

上の写真の状態で貯めてある水素を、使う場所まで届けるにはどうすればいいのでしょうか? 以下の4つのような、さまざまな方法が考えられます。

1 小規模R水素ステーションでつくって配る

車に供給する場合、車の方が移動してきてくれます。また、高圧タンクに水素を積んだ車が、水素を家に届ける働きをし、車を走らせるための燃料電池(水素発電機)は、そのまま移動式発電機としても使えます。

HONDAが埼玉県庁にオープンされたソーラー発電によるR水素ステーション

2 既存の都市ガスパイプライン(PE管)で届ける

IPCC(気候変動政府間パネル)は、2011年5月9日に出した「再生可能エネルギーに関する特別報告書」の中で、「ガス供給網に『再生可能エネルギー由来の水素(RE水素)』を統合可能」(30ページ)と言及しています。

また、産業用水素ガスを販売する某大手企業の技術員が、R水素ネットワークの取材に対し「日本のパイプラインは技術基準が高いので、今のままでも水素に使える」と非公式コメントを残しています。

さらには、2011年2月に行われたイワタニ水素エネルギーフォーラムの中で、HySUT(水素供給・利用技術研究組合)理事長の吉田正寛氏(JX日鉱日石エネルギー株式会社  執行役員研究開発企画部長)が、「既存のガスパイプラインの転用は可能であり、それを示唆するデータが現在進行中の北九州水素タウン実証プロジェクトで出てくるだろう」と回答するなど、すでに都市部に埋設済みの都市ガスパイプラインを、水素を届けるのに使えることは、間違いなさそうです。

3 既存のプロパンガスやカセットコンロ用ガスの供給網で届ける

ひとたびタンクやキャニスターに収納してしまえば、プロパンガスのボンベや、コンビニエンスストアなどでも手に入るカセットコンロ用のガスと同じ要領で流通させることができます。

カセット式で水素を補充できる水素発電機付きスクーター

4 燃料電池で発電して、マイクログリッドで届ける

数軒〜数十軒で共有のR水素システムを使う場合は、水素の状態で届ける必要はありません。一カ所でまとめて発電し、余った分を水素にして貯め、足りないときには燃料電池で発電した電気をマイクログリッド(小規模送電網)を使って届けます。

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